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2012年1月15日 (日)

「創発的破壊 未来をつくるイノベーション」米倉誠一郎著

個々の小さな行為の総和が創造を超えたパワーや結果を生むことを「創発」という言葉で表現し、この創発が世界を変える力になるという説明から始まります。
閉塞感が溢れているいまの日本で、私たちはどこからか強烈なリーダーが現れ、私たちを導いてくれると思っていないでしょうか?
社会の到るところがうまくいっていないことについて、それぞれの現リーダーを批判し、リーダーが駄目だからもうどうしようもないと思っていないでしょうか?
しかし、いまや個々人の小さな行動が例えば、ツイッターやフェイスブックを使って増幅され、大きな動きになることだって可能。それは中東やチュニジア、エジプトで起こったジャスミン革命に象徴的に表れています。

リーダー不在を嘆くことで、あるいは現リーダーの無策を批判することで、自分が何もしていないことを忘れようとしているのではないか?
著者は創発的破壊が起こることを信じて、一人ひとりが行動することを求めていて、本の中では、歴史を振り返りつつ、現に行動をしている人について、今後のことについて非常に前向きに語っています。ですからこの本を読んでいるとうまくいかない現状をいつまでもぐずぐず批判したり、評論したりしていることが非生産的で、意味のないことのように感じます。

若い人たちが世界とか日本とかのこだわりなく、自分がやるべきことややりたいことをどんどんやっていることが紹介されており、若い人の心配をしている場合ではなく、自分たちは自分たちのことを考えていかねばならないと気づかされます。

中身は著者自身が「戦後復興の視点、ソーシャル・イノベーションの視点、高校生教育の視点、世界から学ぶという視点、明治初年度における国創りの根幹という視点から多面的に検討してきた。」と書いているとおり、多岐にわたっていますのでうまくまとめきれませんが、ハッとしたところをいくつか引用させていだたきます。

「「いい成績をとって、いい大学にいく」というのは従来の考え方です。「安定した殻から出たくない」、たしかにそうです。職についていると天国で、外は地獄のように見えるでしょうが、人生はそんなものではないのです。
私は銀行家になって好きなことをしています。好きなことをやっていれば、二十四時間働いていても苦にならないはずです。そういう社会が、今までできてこなかったから、「今の職を辞めれば、あとは闇」と思ってしまうのです。でも飛び出してみれば、成功もあれば失敗もあるけれども、どんどん先が続くのです。」(グラミン銀行の創設者ムハマド・ユヌス氏の来日記念セミナーの中でのユヌス氏の発言)

「「今の若者はだめだ」という大人は多い。しかし、若者は社会の鏡だ。
大人がふやけていれば、彼らもふやける。大人が縮こまれば、若者も縮こまる。しかし、大人がチャレンジを与えれば、与えるだけ彼らは伸びる。大人が日本ばかりを見ていたのでは、内向的な若者が育つばかりだ。・・・」

「・・日本の経済発展を支えたものは「六五年にわたる平和」だったのではないかと思うに至った。たしかに、すぐれた産業政策や企業システムは重要だった。しかし、日本が謳歌できた六五年にわたる永き平和こそ、日本の奇跡的経済発展の礎だったのではないか。・・」
「平和はよほどラッキーでなければ「代償」なしに手に入れることはできない。その「代償」とは、自分たちで守る、誰かに守ってもらう、あるいは経済や外交手段を通じて均衡点をつくる、そうした努力をさす。
おそらく、1970年以降日本人は徐々にその意識を失っていったのである、いわゆる「平和ボケ」である。」

「いまの時代にあってカリスマ的リーダー待望論は敗北主義である。そんなリーダーを待つのではなく、一人ひとりが変革の主役となれることに二十一世紀の意味がある。」

「ベンチャー企業が力を発揮するのは、社長をはじめ社員全体が会社に対して当事者意識をもつからである。すべての会社がこうした当事者意識に支えられたならば、世界はもっと良くなるはずだ。」

著者の米倉誠一郎氏は、一橋大学イノベーションセンター教授です。
日々大学で過ごされるだけでも社会に貢献されており、私たちはそれで十分じゃないかと考えます。しかし「日本元気塾」を数名の方と立ち上げ、日本を背負うべき人を育てておられるなど、大学の外でも活発に活動をされています。

本からも熱い想いが伝わり、自分も何か一歩を踏み出す、日々の繰り返しではなく毎日少しでも前に進むような一日を送らねば申し訳ないような、いえ、損をするような気持にさせられました。

堅いところばかり引用しましたが、グラミン銀行を始め、旭山動物園や日本理化学工業など事例がたくさんあって幅が広く飽きずに読める内容です。私は電車の中でも人の目を気にせず夢中で読みました・・

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