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2012年4月30日 (月)

日経新聞経済教室「子育て支援政策の課題(上)「中小企業」「非正規」対策カギ」2012.4.30朝刊

日経新聞の経済教室に、子育て支援政策について掲載されております。
本日は、慶應義塾大学の駒村康平教授、「「中小企業」「非正規」対策カギ」
副題に「出産後の離職を防止 保育より育児休業優先を」とあります。

一つの考え方ですが、子育て支援政策を実施する上で、あるいは子育てを支援する上で押さえておくべき点がきちんと整理されていて、参考になると思います。(以下、引用はカッコつき)

まずこの記事のポイント

「○子を持つ女性の雇用と育児の両立支援重要
 ○中小企業や非正規で育児休業の普及遅れる
 ○保育需要低減に貢献した企業優遇の検討を」

子ども・子育て支援の政策を4つに整理

「子ども・子育て支援の政策には、
(1)子育て世帯に対する経済支援(税制・所得保障)
(2)すべての子どもへの健全な育成環境の保障(児童福祉・保育)
(3)就学前からの教育の充実(教育)
(4)出産をきっかけに不本意に退職し、再就職が困難になっている子どもを持つ女性の労働力率の向上と出生率の上昇を目指す両立支援(労働政策)
――の4つがある。四輪駆動の車輪のように、それぞれの政策がバランスよく、整合的、継続的に実施されることが重要である。」

子育ての中で福祉と教育の分野から見た報告書として、経済協力開発機構(OECD)の報告から

「児童福祉と教育に関しては、経済協力開発機構(OECD)各国でも、これからのグローバル社会・知識経済を生きる子どもたちへの就学前教育・保育の強化が重要なテーマになっている。

OECDは今年1月に3回目となる報告書を公表した。そこでは、

(1)幼児教育・保育の質の目標、規制の設定
(2)カリキュラム、最低基準
(3)保育士・教諭の資格、訓練、労働条件
(4)家族やコミュニティーの関与
(5)保育・教育に関するデータ収集、研究、モニタリング(監視)
――が提案されている。

報告書では発達心理学・神経学の研究蓄積も踏まえて、認知、行動様式に影響を与える言語能力、数的能力、感情コントロール、友達とのつきあい(社会的スキル)は、1~4歳の取り組みが重要であるとされている。これまでの研究から、学校教育だけでは人生の機会均等化は難しいことがわかっており、幼児期の良好な育成環境が重要である。幼児期の育成環境の整備は、子どもたちの持っている可能性を引き出し、親の経済状態によって発生する格差の連鎖を断ち切る「機会平等」政策であり、将来の活力ある社会につながる。
だが新システムには、子ども・子育て支援政策の4車輪のうち、両立支援が組み込まれていない。保育制度と両立支援はセットで改革すべきである。」

政府が創設を目指す「子ども・子育て新システム」について

「政府が2013年度創設を目指す「子ども・子育て新システム」に関連する3法案が現在、国会に提出されている。新システムは、保育制度改革のみを目標にしたものではなく、すべての子どもたちへの質の高い育成環境を保障することを目標に、児童福祉、児童手当、幼保一体化を包括したものである。

両立支援を巡っては、次世代育成支援対策推進法(次世代法)と育児休業制度が重要な役割を果たしている。
05年に10年時限立法として成立した次世代法は、両立支援推進の行動計画の策定とそれを従業員に周知することを301人以上の企業に義務づけた。
10年には対象を101人以上の企業に広げている。しかし時限立法の次世代法は15年3月で終了する。
一方、1992年に始まった育児休業制度は徐々に充実され、05年には有期契約労働者も対象になり、現在は短時間労働者も対象となっている。
育児休業取得率は上昇傾向にあるものの、10年度は男女とも低下している。また、妊娠・出産による離職の防止も進んでいない。

妊娠・出産による離職を防止できない背景には、育児休業普及とその効果が大企業・正規労働者にとどまり、中小企業・非正規労働者に浸透していないことがある。
実際に、厚生労働省の「10年雇用均等基本調査」の結果を踏まえると、中小企業(特に30人未満)では育児休業制度の普及が遅れている現在のように、中小企業、非正規労働者への育児休業・両立支援の普及が遅れたままで保育ニーズに積極的に対応する新システムが始まると、都市部では保育サービス需要が急増する。特に、育児休業の普及が不十分なままだと、高コストの0歳児向けの保育サービスの需要が拡大し、新システムの費用が膨らむ。

新システムの財源には、社会保障と税の一体改革により高齢者・子育て支援にも振り向けられる消費税とともに、事業主から厚生年金と一体で徴収される拠出金が充当されることになっている。
3年後に期限を迎える次世代法を新システムに組み込むことや、雇用保険における育児休業給付の費用分と新システムの拠出金の財政を統合することを考えるべきである。

そのうえで、中小企業に対しては、育児休業・両立支援の普及や制度利用が順調に進んだ場合には、拠出金を減額する仕組みを導入すべきである。社会全体でみれば、育児休業の方が0歳児保育よりも費用がかからない。育児休業・両立支援の推進により新システムの財政負荷の軽減に貢献した企業が恩恵を受けられる制度とすることで、両立支援強化のインセンティブ(誘因)を与えられる。」

ほとんど引用になってしまいましたが、新システムの具体的内容や中小企業の両立支援の実態などの記述がありますので、詳しくは原文を。。

最初にも書きましたが、考え方が整理できるいい記事だと思います。

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