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2014年8月10日 (日)

「平常心があれば集中力は生まれる」順天堂大学教授 天野篤氏 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー9月号

昨日に引き続き、雑誌DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの9月号に掲載された記事をクリップします。

天皇陛下の執刀医を務めた順天堂大学の天野篤教授の記事です。

慢心という言葉とは無縁、凄いことが淡々と書かれています。 ボキャブラリーが貧困ですが、“凄い”です。

クリップではそこが伝えきれませんので、原文読んでください。

手術の成功とは

『手術という行為は、患者につらい思いをさせても、彼らの残りの人生を快適にすることである。そのため医師が手術を選択した以上、失敗は許されない。』

『患者の生涯を見守る立場としては、真の意味での主日の成功とは、患者が最期を迎えた時にわかるものだと考えている。家族が故人を見送る時に心臓手術の具 体的な内容が話題に上らなければ、それは病気だったこと、手術をしたことを忘れるほど、予後がよかった証明になるからだ。 つまり本来の医師の仕事とは、患者を治すことによって社会を再生産することだともいえる。患者は、病気から回復すれば医師や病院から距離を置きたいと考え るものだ。それは医師にとって喜ばしいことである。大事なのは、患者本人が手術をした病院のことも、病気だったことさえも忘れて、社会に戻ることなのだ。 五十八歳のいまでも年間四五○例を超える手術に挑むのは、そうした使命に対する自覚があるからだ。執刀することで何かを生み出さねばならないという想いこ そ、私が手術を続ける原動力になっている。』

手術中の平常心

『手術の前日には、検査結果の数値や画像診断の写真を見て患者の状況を把握し、過去に扱った類似の手術を思い浮かべる。どうしても気になる部分は、それま での自分の手術記録をひっくり返しながら、確認したことを頭のなかにしっかりと刻み込む。 (中略) これは若い時からいまに至るまで徹底していることである。準備のために病院に泊まり込むこともしょっちゅうだ。この労を惜しむようではプロフェッショナル とは言えない。』

『迎える当日、手術に臨むに当たり私の心を落ち着かせるのは、手術前の「手洗い」だ。 手術前には、およそ五分間をかけて念入りな手洗いを行う。この行為は手を清潔にするためだけに留まらず、手術室に入るまでに心に抱いていたストレスや不安 、怒りなどをすべて洗い流してくれる。 私にとっては、手洗いという行為がスイッチを切り替える役割を果たしている。言わば座禅を組んだ時に「無」になるような瞬間だ。手を洗ってからマスクをつ けて、手袋をはめるという一連の過程を経て、心臓外科医モードに切り替わるのだ。 この手洗いの時間があることで、手術直前には感情をニュートラルの状態に保つことができる。 (中略) ひとたび手術が始まれば、手術室の空気に溶け込み、手術をする「マシン」(機械)になる必要があるのだ。そのためにも、手洗いの時間で感情をニュートラル にコントロールする。』

『手術に当たって過度に集中力を高めるということは意識しない。むしろ、手術を特別なものだととらえず、「作業」という形に置き換えるほうがうまくいく。 頭で考えるのではなく、目から取り込んだ情報を基に、身体的な反射でスムーズに進められれば、つまづくことはない。 これは手を抜くということではない。当然アクセルは十分に踏み込んでいるが、コントロールが利かないような踏み方はしないということだ。 手術のたびに集中力を高めているようでは、一人前の外科医とは呼べないだろう。必要な集中力は、平常心を保つことで自然と発揮されるのである。』

医師としての成長

『大学受験、学生時代の試験、医学教育・・・医師が取り組む「勉強」はすべて同じカリキュラムでできている。カリキュラムの範囲にある知識をもっとも効率的 に習得した者の成績がよく、次のステップに進む仕組みとなっているのだ。 そして医師免許を取得して医師になれば、何もしなくてもミニマム・リクアイアメント(これだけは知っておくべき知識)を満たしていることになる。その状態 に甘え、それ以上深く学ぼうとしない若い医師があまりにも多すぎる。 一つの文献を探っていると、縦横斜めに派生していく知識がある。それを突き詰めれば、自分のなかに幅広い知識が根を張っていく。 それをやった人間とやらない人間、それが好きな人間と嫌いな人間では、年を追うごとに知識の差が歴然となる。私の引き出しのなかに多くのものが詰まってい るのは、若い時からそうした行動を続けてきたからだ。 私は、能力があるのにそれを活かそうとしない人間を許すことはできない。仕事に没頭して知識と経験を身につけ、周囲のだれからも認められる成果を上げるべ きだ。医師こそ天職であると信じて、そこにすべてを費やす必要がある。医師の道を選んだ者としてそれは当然のことだ。』

『自分ができることをやり尽せば、後は神頼みでいい。神頼みというと他力本願のように聞こえるが、やるべきことをやった結果、森羅万象を味方にするという 感覚に近い。 太陽は、世のなかがひっくり返ろうが絶対に東から昇る。どんなにどりょくしても動かせないものは、「そういうもの」として受け入れるのだ。それを受け入れ ることによって、次の一手が見えてくる。それが私の言う神頼みという言葉の真意である。』

“神頼み”のところは、昨日クリップした永守重信社長の“運が七割”に通じるものを感じます。

永守社長にしても天野教授にしても最高の地位・名誉を手に入れているけれど、それをひけらかすことには何の関心もなくて、次に何をすべきか、何をしたいか を考えている。

普通の者であってもやるべきことは同じ。 自分が本当に追うべきものは何なのか・・・はっとさせられます。

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