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2015年5月 6日 (水)

「地方創生地域の視点」2015.05.04~05.06日経新聞朝刊経済教室(上)(中)(下)

5月4日から6日まで日本経済新聞の経済教室で「地方創生地域の視点」と題し、地域の識者の論説が掲載されていました。

各記事とも“ポイント”として主張を3つの項目で整理されていますが、

4日の記事は九州大学の谷口博文教授で、ポイントは

『○全国一律の活性化策はうまく機能しない

○個別の自治体単位での総合的施策は困難

○現場のことが分かる地域の司令塔が必要』

全国一律に問題ありというのは、国の施策に対し、昔から言われてきてことで目当たらしい話ではありませんが、 この稿の中でまず考えさせられたのは、

『地方創生の課題設定は人口というシンプルな指標が出発点なのでわかりやすいが「これさえあればできる」というマジックのような単純な策はない。雇用、産業、医療・介護・福祉、教育、安全、まちづくり、インフラ整備など、地域の魅力向上のためまさに総合的な施策が必要である。  

各自治体が実際にすべての施策を実施することは、人的資源の制約もあり難しい。各自治体への人材支援制度などは一つの対応だが、国から何人かの官僚が自治体に出向すれば解決できるというような生易しい問題ではない。』

というところです。

地域の再生(創生?)は、企業の再生とは違い一つないしは少数の分野に特化して強みを出していくというのとは異なり、地域の課題全般をカバーしなければ、創生ということになりません。 まさに総合的に施策を実施しなければなりません。

そうした時に、人的な資源が不足する。それぞれの歴史を持って現在に至る地域の施策を行う人材は、記事にあるとおり、いくら優秀であるとしても国の職員数名が出向してできる話ではない。

そして、ポイント2に示しているとおり、そもそもこれだけ広い分野を単体の「自治体」それぞれがそれぞれで行う必要があるのか?

地域のことは自治体が担うという発想そのものに限界があるのではないか。

『自治体の中には人口が300人を切るところもある。1万人未満の自治体の数は全体の4分の1を超える。もちろん小さな自治体でも知恵と汗によって人口減少を食い止め、成果を上げている例は少なくない。だが、どんな自治体でも自分だけで解決できるはず、ということにはならない。地域全体のパイを増やす戦略がなければ結局、自治体同士のパイの奪い合いとなり、給付金などのバラマキ競争になる。本来「総合戦略」に期待される全体最適の姿は見えてこない。  

解決の糸口が見えないのは、都道府県や市町村という現行の行政単位以外に、地方版総合戦略を立てて実行する当事者を想定することが難しいからである。』 

谷口教授は、小さい自治体が知恵を出し、汗をかいても自治体の枠で考える限り、パイの奪い合いになると言われているし、

『都道府県や市町村という現行の行政単位以外に、地方版総合戦略を立てて実行する当事者を想定することが難しい』というところはまさにそうだと思います。

地域の将来は自治体に頼らざるをえないけれど、そのトップである首長は4年ごとの選挙のために、目立つ施策を好むし、首長が変わってしまえば、施策の継続性は危うくなります。

また施策を実行する職員にしても、地域の役に立つ仕事をしたいと熱心に働く職員もいれば、あくまでサラリーマンとして日々目の前の業務をこなすだけのものもいます。

自治体は、企業のように駄目なところが撤退ないしは倒産して、よりよい財・サービスを提供するところに変わるようなことはありませんから、自治体の良し悪しだけで地域の将来が決まってしまうということになりかねません。

しかし、『総合戦略を立てて実行する当事者が想定できない』。

谷口教授は、参考例として、英国の地域・企業パートナーシップ(Local Enterprise Partnership=LEP)や福岡地域戦略推進協議会(FDC)の例を説明されていますが、そこは記事を読んでいただくとして、

それを例に当事者が見つかったとして、3つ目のポイント『現場のことが分かる地域の司令塔が必要』だというのはまさにそのとおりだと思います。

そして、特に説明なく使われている『現場』についても、現場とは何か、それが分かるとは何か。

さらりと流すのではなく、意味を考えてみないといけないと思います。

『地方創生』というワードはそれに関わる専門家、関係者の方が考えていればいいと思いがちですが、それを「地域の将来」という言葉に置き換えた時、自分たち一人ひとりの生活に大きく関わる問題として専門家任せにしてはいけないということに気がつきます。

地方の主人公は政府や自治体などではなく、自分自身であると意識して、地域の問題について自分なりに、高尚な言葉に惑わされることなく、考えておかないといけないのではないかと記事を読みながら考えました。

4日の谷口教授の記事で長くなってしまいました。

5日は奈良市長の仲川げん氏 ポイントは

『○適正な人口規模への自治体再編の議論を

○国家公務員含め官民交流を大幅に増やせ

○地方創生では独自の取り組み求められる』

6日は岡山大学の中村良平教授 ポイントは

『○わがまちの経済構造の精緻な分析が必要

○域内市場産業だけで地域経済成り立たず

○自治体は各産業の稼ぐ力と雇用力把握を』

仲川市長は、自治体の規模と自治体職員、施策の内容の問題、中村教授は評価・分析、経済・産業及び雇用の問題で各論的な話かな。

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