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2016年4月

2016年4月29日 (金)

「県庁そろそろクビですか?「はみだし公務員」の挑戦」円城寺雄介著

気になってはいたんですが、漫画家江川達也氏の表紙と本のタイトルで書店ではちょっと手に取るのが憚られて、読まずにいました。

が・・・、我が故郷、佐賀県の県職員さんが書いたものなので、やはり気になって読んでみました。

救急車にiPadを配備し、国内で初めて救急患者の搬送時間短縮を成功させたり、医師と協力してドクターヘリの導入を実現した方がその記録を中心に書かれています。

公務員でありながら・・という表現はまずいかもしれませんが、組織の枠にとらわれず、熱く考え行動されている姿は驚きですし、自分の日頃の考え方、行動を反省させられます。

どんな立場にいても熱い想いと冷静に考える力、そしてそれを行動に移す力があれば、それでたいていのことは実現できるのかもしれないと思います。

ただ、それが自分を含め、大部分の人にはできないことだということもよくわかります。

みんなが円城寺氏のように行動できたとしたら、日本は大きく変わるだろうと思います。

でも、それは難しい。

また、一人の人が何かをやり遂げたとしても、それを継続していくことが難しいし、継続するためには一人の人に続く人が必要です。

熱い気持ちを口に出すことは簡単だけれど、それを実行に移す。そして継続する。

本当にそれができるのは一握りの人だと思います。

じゃ、自分はそんな人じゃないからと何もしないのか? 非凡な人のように大きなことはできないけれど、自分に与えられた役割をコツコツとこなす。自分ができる範囲で最大限できることをする。

以前はすごい人の話にいいなあと思っていたけれど、この方はこの方、自分は自分のできることをしようと思います。

ところで、この方本当にすごいと思います。

組織の問題に不満をいうのではなく、問題は問題として受け止めた上で、その中で自分が何をするかを考えている。

たくさんの公務員の中で一握りの人しかできないことをしているけれど、それを自慢しているわけではない。

何かを成功させてそれで終わりではなく、ずっと取り組んでいかないといけないと意識されて、自身ができることを続けている。


それなりに年を取った自分には、自分もこの方のように・・・と思う本ではありませんでしたが、自分の位置を見つめ直して、やるべきことを考えさせられる本でした。

救急車へのiPad配備やドクターヘリ導入など、主に書かれている内容は派手でしたが、この本を読んで、逆に日々の地味で当たり前の業務の大切さをあらためて考えました。

大過なく毎日を過ごすのか、自分に与えられた仕事を通じ、自分ができることを精一杯やりたいと考え毎日を過ごすのか、自分はどっちを選んでいるのだろうか・・・自分を振り返る本でもありました。

2016年4月24日 (日)

「「同一賃金」経済界の本音」2016.4.24日本経済新聞朝刊 中外時評

日本経済新聞日曜版、4月24日の「日曜に考える」の「中外時評」は論説副委員 水野裕司氏の「「同一賃金」経済界の本音」。

いまのパートやアルバイトの仕事を見ているとかなり責任のある仕事を任せられていて、それでいてこんな給料でいいんだろうかと思う事例が多くて、労働内容に応じて賃金が決まったほうがすっきりと考えているので、「同一労働同一賃金」の議論は気になります。

さて、記事ではまず経団連の話から

『経団連の榊原定征会長は非正規で働く人の待遇改善という政府の狙いは理解しつつも、導入について注文をつける。  

「日本独自の雇用慣行を踏まえる必要がある。同じ仕事だから同じ賃金という単純なものではない。その人への期待、役割、将来的な会社への貢献など、さまざまな要素を勘案しなくてはならない」(3月7日の記者会見)  

雇用期間が限られた非正規社員と比べ、長期雇用の正社員は会社への帰属意識が高い。急な仕事を頼むなどの無理も利く。賃金に違いがあるのはおかしくない――。そんな思いもあるかもしれない。』  

『そもそも同一労働同一賃金は、日本で浸透している賃金制度になじみにくいと経団連は考えている。同一労働同一賃金の実践に欠かせないのは仕事の内容に応じて賃金を決める「職務給」の仕組みだ。これに対し日本では、賃金は職務を遂行する能力によって決まるという「職能給」の制度が根を張っている。』

そういう中で、同一労働同一賃金を導入すると『企業の現場が混乱するというのが経団連の考えだ。』だそうです。

確かに正社員を中心に考えれば、企業にずっといてくれる存在だから、その人への期待があって、将来的な会社への貢献も考えて給料を決めているから、現在の職務だけで給料を決められないという主張はもっともなように聞こえるけれど、多くの企業で非正規社員がどんどん増えていて、非正規社員がいなければもはや企業が成り立たない状況にありながら、そして、それぞれの非正規社員を長く働かせていながら、正社員とは違うから、期待値が違うし、将来の貢献も考えていない。だから給料が違うんだというのは、おかしいんじゃないかなと感じます。

記事には現在とは逆の過去の取組の歴史が書かれています。

『だが、じつは経済界は、同一労働同一賃金や職務給の普及に積極的だった時期がある。
1950年代から60年代にかけて、「財界労務部」の日経連(2002年に経団連と統合)が盛んに動いた。当時は、現在のようにパートや派遣、契約社員といった雇用形態が一般的でなく、正社員の賃金を改革する取り組みだった。  

「賃金の本質は労務の対価たるところにあり、同一職務労働であれば、担当者の学歴、年令等の如何(いかん)に拘(かかわ)らず同一の給与額が支払われるべきで……」

「職務給は賃金の本質を最も忠実に表現化した給与制度といえよう」。

日経連加盟企業の人事勤労部門の課長らが編集にかかわった「職務給の研究」(55年)の一節だ。  経済界が職務給の普及に力を入れたのは、終戦直後から広がり始めた年功賃金制への反省からだった。  電力会社の労働組合が経営側から獲得した、「電産型賃金」と呼ばれる生活保障給の色彩の強い賃金制度が典型例だ。

岸本英太郎著「同一労働同一賃金―その理論と政策序説」(62年)は「資本の反撃」の背景として、賃金支払総額の急速な増加や、若年労働者から仕事に見合った賃金要求が出てきたことなどを挙げている。』

かつては経済界のほうが、同一労働同一賃金を求めていた。

しかし、

『ところが60年代後半になると、職務給や同一労働同一賃金を求める声は急速にしぼんだ。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・主席統括研究員によれば、企業の現場が、職務給では社員の配置転換を円滑に進められないと認識し始めたためだ(「日本の雇用と労働法」)。  

当時は技術革新に伴い、企業は社員を柔軟に配置換えする必要性が出てきた。職務給のもとでは、持ち場が変わるたびに賃金も変動する。

労働組合は賃金が不安定になることを問題視。結局、企業の経営者は、配置転換で労働側の協力を得るため職務給を断念した。日経連も急速に職能給にシフトしていく。その後、年功賃金制度が定着したのは周知の通りだ。』

この時点で、若年労働者の賃金の問題や労働の対価である給料が生活保障給であっていいのかという議論は残っていたんじゃないかなと思います。

もし、議論が継続されていたら・・・ やはりおかしいんじゃないかという問題意識を持つ人が多かったら・・・と残念です。

中途半端に決着がついて、賃金、給料がどうあるべきか考えてこなかった。年功の賃金体系を作って、若い人には将来の給料は保障されているから今は安い給料で我慢してと諭し、それなりの年齢の人には働き以上の高い給料をはらっているんだから、その上に残業手当は請求できないよね的に手当を払わず長時間の労働を求めてきたんじゃないか。

労働を正確に評価しようとしなかったことが、いまの長時間労働が当たり前を作っているようで、そして、自分を犠牲にして長時間働く人が高い評価をされるような風土を作っているような気がします。

労働とは、それを評価する賃金・給料とは何か?

そこから考えないといけないように思いますが、いまあるシステムに不都合が生じるからという経団連の発想では、同一労働同一賃金は進まないだろうなあと思います。

記事から少しずれたので、一応記事の結論を

『経団連が職務給や同一労働同一賃金に慎重なのは、会社にとっては使いやすく都合の良い正社員の働き方を、あまり変えたくないからと読める。

社員に仕事を随時命じることができる仕組みは会社にとって極めて便利だ。  
しかし、社員の専門性を高め、女性や高度外国人材が働きやすくするには、いまこそ正社員改革が必要だ。「なんでもやる」正社員を必ずしも否定はできないが、少なくとも職務給による働き方と併せて複線化することが求められる。同一労働同一賃金論議をそのきっかけとしたい。』

同一賃金の考え方について、自分なりに整理ができる記事でした。

2016年4月17日 (日)

小さな活動に光る原石~自治体の認知症戦略(提論 明日へ)2016.4.17西日本新聞朝刊

今日の西日本新聞、日曜日に連載されている「提論 明日へ」は医師、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉さんのご担当。 「自治体の認知症戦略」というタイトルのお話です。

認知症はこれから年を重ねる自分にとって大きな問題ですが、高齢化がますます進む日本全体にとって「最優先の課題」として、誰もが考えなければ問題になります。

記事を引用すると

「国家戦略としての認知症対策は、福祉先進国といわれる幾つかの国では有効なものとして現場で活用され高く評価されている。高齢者人口に対して圧倒的に不足する担い手人口の推計にも関わらず、最も切実なはずの日本においては、いまだ現場の諸問題が解決されているとは言えず、出遅れている感は否めない。認知症の方のみならず、ご家族に大変な労苦を強いている。」


「認知症は疾病であるが、及ぼす影響の大きさから社会問題として捉える必要がある。医療に軸足を置きすぎると解決しない。医療は必要な時に必要なことを限定してやる脇役でよい。大切なことは、認知症をコミュニティー全体で支えていくという、国家戦略というよりは極めて身近な問題としての「認知症自治体戦略」である。」


ここで福岡県大牟田市の取り組みを取り上げておられます。

大牟田市は「・・・地域の人たちが日頃から見守り、行方不明になったら声を掛け合って捜す、認知症になっても「安心して外出できる」まちづくり」という取り組みをしているそうです。

そしてそれは、20年前にデンマークで障害者の生活を可能な限り障害のない人の生活に近づけるノーマライゼーションを学んだ大谷るみ子さんの活動から始まっていることが書かれています。


「大牟田という地に落とした一滴が20年を経て波紋のように広がり、彼女の継続の力によって全国でも稀有な活動として続いている。」


「大牟田の事例から学ぶことは多い。小さきものから大きなものへ見事に運動が拡大していくありさまである。主たるものは本人の強い意志と無私の力ではあろうが、小さきものが各界を巻き込みながら、いわば「認知症自治体戦略」を作ってきた過程は、認知症に限らず、これからの地方公共団体の意思決定のあり方の大きなヒントとなる。」


「・・行政側からいうならば、小さき市民の声や活動の中に光りうる原石を見つけ出す力量があるか、そのようなものに常に耳を澄ましているかが問われている。」


自治体は住民の方から預かった税金を使って様々な取り組みを行うことができますが、税金であるが故に大きな失敗は許されません。

事業を担当する職員は人事異動で数年で替わり、職員がどんなに情熱を持っていても継続して一つの事業を担当することは難しい。

ましてまったく畑違いのところから配属された職員は、まず何から始めていいのかさえもわかりません。

担当が替わるたびに取り組みが“一から”とは言わないまでも大幅に後退してしまいます。

また、予算が限られているので、数年という短期間で成果、あるいは方向性が見えなければ、取り組みの継続は難しい。


そんな構造的な問題があって、自治体そのものが、新たに出てきた課題に取り組むのは難しいと常日頃感じていて、地域の課題を解決するために活躍する主役は、もはや自治体ではないのではないかと考えていたので、この記事、まさにと感じました。


「次々に行われる改革の中で、社会保障関連においても、国から課せられる矢継ぎ早の事業の連続によって地方公共団体は振り回されているように見える。財政的にも厳しいところが多く、人の面での余裕もないのであろうが、これから事態が窮迫すればするほど、この構図は顕著になるだろう。

その地方に必ず隠れている光りうる個人や活動をいかに発掘していくか、地域の人的資源に重きをおいているかが将来を決定する大きな要因になり、問題解決への近道であると考える。鍵は、地域の日常の営みの中にある。」


地域のことは自治体が一番知っているし、自治体こそが地域を作ってきたという思い込みを自治体は捨てないといけないだろうし、様々な個人が様々な活動をする中から地域が必要とする活動を見つけ出し、行政しかできないサポートをしていく、自治体にはいわば目利きの能力が必要になるのだろうと思います。


地域のプロとして業務に携わっている自治体の職員一人ひとりが、地域はだれのものなのか、我が地域はどうあるべきか、地域のために何をすべきであるか、謙虚な気持ちを持って原点に立ち返ることも必要かなって考えるところです。


地域のことを熱く考えている人ほどに、強い意志と無私の気持ちがないならば、活動している方々を黒子として支える。

そういう気持ちでいることが大事じゃないかなと思います。


そして・・・

強いリーダーシップを持ったリーダーが地域を良くしてくれる。もうそんな時代ではないように思います。


記事の終わりは、「小さきものにこそ力がある」

・・・いままでの発想を変えないといけないなあ~と感じます。

2016年4月16日 (土)

平成28年(2016年)熊本地震

4月14日午後9時26分頃、熊本県益城町で震度7の地震がありました。マグニチュードは6.5。

それから断続的に余震らしきものが続き、16日午前1時25分頃、マグニチュード7.3、震度6強を観測する地震が起きました。

気象庁は16日のこの地震を本震だと発表したらしいですが、最初に起こった地震が本震であとは余震が発生する、余震は本震よりは小さいと考えていて、最初の衝撃以上のことは起こらないと油断していた感じがあります。

ただいま4月16日、午後2時近く。

福岡市でも午前中に何度も緊急地震情報が流れていました。
午後になってから、福岡市では少なくなりましたが、テレビでは熊本や大分などの地震速報が流れています。

平穏に生活できることの有難さや日々昨日と同じように生活するということさえ、自然の営み次第でかなわなくなると気がつかされています。

余震が続いていて震源に近いところでは予断を許さない状況で、その上、今夜強い雨が降る予報です。

今度どれくらいこの状況が続くのか、被災された方々のお気持ちは想像もできません。

どうか早く終息しますよう、どうか被害が広がりませんよう、ただ祈るだけです。

2016年4月10日 (日)

人を支えるということ~一般社団法人「ストリート・プロジェクト」

4月3日に若い方の支援をされている一般社団法人ストリート・プロジェクト(以下「ストプロ」)の理事長坪井恵子氏のお話を聞きました。

10人ほどの集まりでお願いをして話をしていただいたもので、ストプロが日頃使っている部屋に行って話を聞きました。

ストプロは2010年8月16日に設立、設立の目的は、定款を引用した印刷物からそのまま引用すると

『経済的困窮や人間関係の問題で学習機会を失ったりした結果、就職や進路の選択肢が限られ、自己肯定感も低くなりがちな状況に生きづらさを感じ、学校や家庭に居場所を感じにくい青少年、その他社会的弱者一般に「好きなことで食べて行けるようになる」為の経済、教育及びメンタルの3つのプログラムを用意し、夢実現や自立を支援すること。』

だそうです。

定款ですから、堅苦しいことが書いてありますが、

15歳から25歳を対象に、マンションの一室で勉強を教えている。いろんな理由で勉強することを諦めた若者にまた勉強をする気持ちを起こさせるために、食事を準備する。
集まったみんなと食事をして、勉強をする。時には1人だけ別室で、スタッフ(坪井さんかな)と一対一で食事をする。

行政の支援はいろいろ手続きが面倒で、制約があるので使わない。

自然体で話される坪井さんの話に、聞いたメンバー言葉をなくしていました。

内容を上手く書けないので、ホームページを紹介します。

人間まず食事が大事だから、栄養バランスを考えた家庭的な食事を作って、若者を迎える。

来なくなった子は探さないそうです。ただ待ちの姿勢。

できることには限界があるから、できることだけをしている。

世の中、こうあらねばならない、こうしなければならない・・なんて言い方で、いろんなことを言うけれど、言葉よりも行動。

すごさを感じました。

2016年4月 2日 (土)

「ロボット化・電力小売り参入 ハウステンボス進化中」2016.03.19 朝日新聞夕刊

4月、新年度になりました。昨年度まで担当していた女性の就職支援業務から離れました。

ここのところ、女性関連に関心が行っておりましたが、これからはもう少し広くいろんなことに関心を向けて、気になった情報をピン止めしていきます。

さて、だいぶ古い新聞記事になりますが、気になったんで保存していました。
2016年3月19日、朝日新聞夕刊の
「ロボット化・電力小売り参入 ハウステンボス進化中」
ハウステンボスのロボットが接客する「変なホテル」から始まって、無人島での取り組みや専属歌劇団の東京進出など、太陽光発電や水素燃料電池など、へぇ~いま話題のもの、ロボット、エコなんでもありで、記事がキラキラしています。
『ハウステンボスが新技術を盛り込んだホテルを開業したのは、宿泊ニーズの増加への対応だけでなく、同様のホテルを各地で展開したい狙いもあるからだ。(中略)こうした形を、新たなホテル事業のモデルにしたい考えだ。』
『澤田秀雄社長は「どんどん生産性を上げていく。無駄がなく楽しいホテルで、いずれ世界で使われるビジネスモデルになる」と意気込む。』
旅行会社エイチ・アイ・エスの成功があって、十分な資金、実績があって、大きな目標を持てる。事業家だからある程度の勝算もあるんでしょう。
環境の問題、人手不足・人件費の問題、そして観光の問題等々、どれも社会的な課題として、自治体が取り組んでいることです。
入ってくることがわかっている税金で、たくさんの利害を調整しながら地域振興するよりも、一企業がモデルケースを作っていくやり方の方が、手っ取り早いんじゃないかな・・・
とこの記事を見ていると思ってしまいます。
今後のハウステンボスにどんなことが起こるか、観光客としてではなく、地方に住むものとして、気になります。

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