○ くらし・地域づくり・地域安全

2016年4月17日 (日)

小さな活動に光る原石~自治体の認知症戦略(提論 明日へ)2016.4.17西日本新聞朝刊

今日の西日本新聞、日曜日に連載されている「提論 明日へ」は医師、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉さんのご担当。 「自治体の認知症戦略」というタイトルのお話です。

認知症はこれから年を重ねる自分にとって大きな問題ですが、高齢化がますます進む日本全体にとって「最優先の課題」として、誰もが考えなければ問題になります。

記事を引用すると

「国家戦略としての認知症対策は、福祉先進国といわれる幾つかの国では有効なものとして現場で活用され高く評価されている。高齢者人口に対して圧倒的に不足する担い手人口の推計にも関わらず、最も切実なはずの日本においては、いまだ現場の諸問題が解決されているとは言えず、出遅れている感は否めない。認知症の方のみならず、ご家族に大変な労苦を強いている。」


「認知症は疾病であるが、及ぼす影響の大きさから社会問題として捉える必要がある。医療に軸足を置きすぎると解決しない。医療は必要な時に必要なことを限定してやる脇役でよい。大切なことは、認知症をコミュニティー全体で支えていくという、国家戦略というよりは極めて身近な問題としての「認知症自治体戦略」である。」


ここで福岡県大牟田市の取り組みを取り上げておられます。

大牟田市は「・・・地域の人たちが日頃から見守り、行方不明になったら声を掛け合って捜す、認知症になっても「安心して外出できる」まちづくり」という取り組みをしているそうです。

そしてそれは、20年前にデンマークで障害者の生活を可能な限り障害のない人の生活に近づけるノーマライゼーションを学んだ大谷るみ子さんの活動から始まっていることが書かれています。


「大牟田という地に落とした一滴が20年を経て波紋のように広がり、彼女の継続の力によって全国でも稀有な活動として続いている。」


「大牟田の事例から学ぶことは多い。小さきものから大きなものへ見事に運動が拡大していくありさまである。主たるものは本人の強い意志と無私の力ではあろうが、小さきものが各界を巻き込みながら、いわば「認知症自治体戦略」を作ってきた過程は、認知症に限らず、これからの地方公共団体の意思決定のあり方の大きなヒントとなる。」


「・・行政側からいうならば、小さき市民の声や活動の中に光りうる原石を見つけ出す力量があるか、そのようなものに常に耳を澄ましているかが問われている。」


自治体は住民の方から預かった税金を使って様々な取り組みを行うことができますが、税金であるが故に大きな失敗は許されません。

事業を担当する職員は人事異動で数年で替わり、職員がどんなに情熱を持っていても継続して一つの事業を担当することは難しい。

ましてまったく畑違いのところから配属された職員は、まず何から始めていいのかさえもわかりません。

担当が替わるたびに取り組みが“一から”とは言わないまでも大幅に後退してしまいます。

また、予算が限られているので、数年という短期間で成果、あるいは方向性が見えなければ、取り組みの継続は難しい。


そんな構造的な問題があって、自治体そのものが、新たに出てきた課題に取り組むのは難しいと常日頃感じていて、地域の課題を解決するために活躍する主役は、もはや自治体ではないのではないかと考えていたので、この記事、まさにと感じました。


「次々に行われる改革の中で、社会保障関連においても、国から課せられる矢継ぎ早の事業の連続によって地方公共団体は振り回されているように見える。財政的にも厳しいところが多く、人の面での余裕もないのであろうが、これから事態が窮迫すればするほど、この構図は顕著になるだろう。

その地方に必ず隠れている光りうる個人や活動をいかに発掘していくか、地域の人的資源に重きをおいているかが将来を決定する大きな要因になり、問題解決への近道であると考える。鍵は、地域の日常の営みの中にある。」


地域のことは自治体が一番知っているし、自治体こそが地域を作ってきたという思い込みを自治体は捨てないといけないだろうし、様々な個人が様々な活動をする中から地域が必要とする活動を見つけ出し、行政しかできないサポートをしていく、自治体にはいわば目利きの能力が必要になるのだろうと思います。


地域のプロとして業務に携わっている自治体の職員一人ひとりが、地域はだれのものなのか、我が地域はどうあるべきか、地域のために何をすべきであるか、謙虚な気持ちを持って原点に立ち返ることも必要かなって考えるところです。


地域のことを熱く考えている人ほどに、強い意志と無私の気持ちがないならば、活動している方々を黒子として支える。

そういう気持ちでいることが大事じゃないかなと思います。


そして・・・

強いリーダーシップを持ったリーダーが地域を良くしてくれる。もうそんな時代ではないように思います。


記事の終わりは、「小さきものにこそ力がある」

・・・いままでの発想を変えないといけないなあ~と感じます。

2016年4月16日 (土)

平成28年(2016年)熊本地震

4月14日午後9時26分頃、熊本県益城町で震度7の地震がありました。マグニチュードは6.5。

それから断続的に余震らしきものが続き、16日午前1時25分頃、マグニチュード7.3、震度6強を観測する地震が起きました。

気象庁は16日のこの地震を本震だと発表したらしいですが、最初に起こった地震が本震であとは余震が発生する、余震は本震よりは小さいと考えていて、最初の衝撃以上のことは起こらないと油断していた感じがあります。

ただいま4月16日、午後2時近く。

福岡市でも午前中に何度も緊急地震情報が流れていました。
午後になってから、福岡市では少なくなりましたが、テレビでは熊本や大分などの地震速報が流れています。

平穏に生活できることの有難さや日々昨日と同じように生活するということさえ、自然の営み次第でかなわなくなると気がつかされています。

余震が続いていて震源に近いところでは予断を許さない状況で、その上、今夜強い雨が降る予報です。

今度どれくらいこの状況が続くのか、被災された方々のお気持ちは想像もできません。

どうか早く終息しますよう、どうか被害が広がりませんよう、ただ祈るだけです。

2015年7月13日 (月)

九州オルレ~地域が輝くヒント

タイトル・・地域活性化という言葉を使いたくないので、“地域が輝く”としてみたんですが、これもどうもしっくりしません。。。

さて、この週末に有志で続けている勉強会に参加しました。

その際に九州全域の観光の取り組みについて、話を聞いたのですが、その中で「九州オルレ」が印象に残りました。

オルレは韓国語だそうで、自然を歩くトレッキング、そのコースのことをいうそうです(ちょっとニュアンス違うかも)。

韓国の済州島で始まった「済州オルレ」がすごい人気で、それを九州でもということで、済州オルレ監修の下、九州でオルレコースを作っているそうです。

詳しくは 九州観光情報サイト九州旅ネットで九州オルレをご覧ください。

それで何が印象に残ったかというとコースの作り方です。

オルレは単に自然を歩くだけでなく、その地域の風景や文化を楽しむものだそうで、そのため、コースを作る際は地元の人しか知らないものを織り込むそうです。ですから地元の人の協力なしにはでき上がらない。

地元の人が協力してコースを作り、それをコースを認定するところの担当者が実際に歩いてコースを評価する。

そしてさらに監修者の済州オルレの方がこれまた歩いて、最終的な認定をする。
すごく手間がかかる。

でもそうやって地元の方も絡んで作ったら、愛着湧くと思うんですよね。

何か大きなことをやろうとするときはそれを取りまとめる組織がなければできないけれど、実際にそのものを作る時はそこにいる人が中心となって、そこの人しか知らないことを入れて作っていく。

地元のモンしか知らないぞ~・・・的なものでこそ、その地元の方々が作りだしたものを大切にして守り育てていく。自分たちでやっていく、やれるってことが一番大切かもって思います。
でも、この取り組み、アウトドアに縁がない私、チラリと聞いたくらいでした。

知る人が知るものなんでしょうが・・いや私だけが知らないかも・・手間ひまかけて、パンフレットもお金をかけて作っているようですが、それをその筋(笑)ではない普通の人の多くが知っているものにするためには、別の工夫が必要なんでしょうね。

2015年6月21日 (日)

「超プラス思考で、モチベーションを高めてまちづくりを実現!」月刊ガバナンス5月号 木村俊昭氏

どこに行ったか分からなくなっていた雑誌が見つかったのでページを開いてみるとメモを残したくなる記事が載っていました。

自治体職員の業界誌(?)「月刊ガバナンス」、ごく一部の地方公務員しか読まないかもしれませんが・・
東京農業大学教授、木村俊昭氏の記事です。



木村氏は1984年に北海道小樽市に採用されたのですが、2006年に内閣官房・内閣府企画官に。一自治体の職員さんが全国の仕事を任せられたということでどれだけすごい人な
のかがわかります。

○地方創生に係る「地方版総合戦略」について

自治体が15年度中に総合戦略を策定することになっていますが、
『これまでの自治体の計画は現場をよく見ないで、数%の人たちの意見を聴いてつくることが多かった。その人たちが現場の実情を把握し、その意向を反映してくれるならばいいが、必ずしもそうとは限らない。すると数%の思いが中心になってしまう。そして、そのようにしてつくられた計画を自治体は住民にいきなり広報する。そこで初めて住民は計画を知り、驚くことになる。』

『選ばれた人だけでなく、自由に住民が参加できる場づくりが必要だ。そこでは要望も多いが、対話によってこれまで出てこなかった意見や、全く声を上げなかった人たちが自分のまちに関心を持って動き始めている。
今回の総合戦略は広聴重視でつくるべきで、自分たちのまちは自分たちで悩み考え抜いて創っていくんだと再認識する機会になると考えている。』

すごくわかります。学識の方であったりとか、長年取り組んでいる専門家の方が自治体の委員として意見を言って、立派なものができていく。でもまちはそんな人ばかりが住んでいるわけではなくて、大半は普通の人。できるだけ多くの、まちのいろんな人がどんなまちをつくるかを考えることが大事だって思います。

『首長と議会が対立することがあるが、住みやすいまちづくりをしたいという思いはみんな同じなはず。大事なのは、自分たちのまちの暮らしぶりをどうするか、それを子どもたちにどのように継承していくかということだ。
これまでは、決まったことだから了承してくれという説得の行政が主だった。そうではなく、まず広聴し、行政だけではなくみんなでつくり上げた政策や計画を、案段階でもう一度広聴して意見を聴き、でき上がった計画を広報する手法が求められる。
するとこれまでとは何が異なるのか。まず、住民がまちの現状と課題を知って気づく。人は自ら知り気づかないと行動に移さない。』

世の中が複雑になって、いろんな価値観の人がいて、それを上からこれで行きましょうというのはもう無理な状態になっています。当事者が自分で気づいて、自分で考えて、自分で行動していく・・・しかないと思います。

○「全体最適」に必要性について、企業誘致を例に

『順番を間違え、最初に企業誘致から取り組む自治体がある。一番大事なのは地元の主産業、基幹産業だ。地元の主産業が地域内のどこと取引し、外と取引しているのであれば、地元内企業にできないか徹底的にお手伝いしていく。まずは地元の主産業に情報をしっかり伝えていくことが必要だ。2番目にそれに関連する業を起こす。(略)
その上で、3番目に企業誘致なり、必要な人財に来てもらうための展開をしていく。』

『・・・地元企業こそだ大事だ。そこを重点的にヒヤリングして産業の活性化を考えるべきであり、企業誘致はあくまで3番目。3番目から始めると地元の主産業はガタガタになってしまう。
これが「全体最適」。まちの企業や農業、商店街、中心街、温泉街がそれぞれバラバラに動くのではなく、同じまちで一緒につなぐことはできないのかを考えていく。』

○職員としての二つの目標

小樽市の職員になるときに二つの目標があったそうです。

『もともと公務員になろうと思って大学に行き、1年から3年までの間、全国を回っていく中で、自分のまちのことを知らな過ぎると感じた。
二つの目標の一つ目は、まちの産業、歴史、文化を徹底的に掘り起こして研きをかけて、世界に向けて発信するまちづくりをすること。二つ目に、それをやるときには、大人だけでなく、未来を担う子どもたちが一緒になって地元への愛着心を持てるように育んでいく人づくりを行うこと。』

○自治体の職員に対して

『役所では出る杭は打たれるし、抜かれる。でも、何も悪いことをするのでなければ、超プラス思考で取り組んでいった方がいい。そうでなければ孤立し、くじけてしまう。一人ではできないのでパートナーが必要で、多様な世代と交流する。そして、急がず、焦らず、慌てず、近道せずに、決して諦めないで取り組んでいけばいい。』

『よく「何から始めたらいいのか」という質問を受ける。大事なのはまず自分の仕事。仕事を通じて、住民のみなさんのために何か改善できることはないか考える。ライフワーク上のことについては、行政職員になったらこれだけはやるぞ、というバケットリスト(死ぬまでにやりたいことのリスト)を定めて取り組んでいくことが大事だ。
希望とは異なる職場で、異動したいと思っている職員もいるかもしれない。でも本業は仕事と人生と考えれば、仕事上では改善をしながら、より住民のために取り組んでいく。
ライフワークとしての目標は、休日に行えばいい。こういう形で自分のモチベーションを高めていく。』

○定員削減で厳しい状態の自治体の状況について

『まず自分たちの仕事を整理し、再検討する。行政職員の中で欠落しているのは、人件費換算をせず、費用対効果を考えないこと。もう一つは、「自分は異動して来たばかりなものですから」と言うこと。』

・・・『この点は、民間から見ればまだ甘い。』

どの項目も何度も読んで、考えたいと思うことばかりです。

2015年1月12日 (月)

佐賀県知事選

自民、公明推薦の候補が当選するかと思っていたお隣佐賀県の知事選挙で、元総務省官僚の山口氏が当選したことを朝の新聞で知って、そうなんだという感じで した。

佐賀は我がふるさと。保守が強い地域です。

自民、公明が推薦したことと知名度の高さで、樋渡候補が有利かなとおもっていたのですが。

山口氏がJAグループの組織票を固めたことと自民党内で党本部と県連の分裂があったことが、山口氏の勝利につながったと新聞が分析しています。

「4月の統一地方選を前に、地方のことは地方が決めるはずの「自治」や「中央との距離」をあらためて考えさせる選挙になった」(2015年1月12日西日本新聞) とありましたが、

ここで語られる“地方”は、県民全般のことのか、自民党県連やJAグループなどの業界団体なのか。

前者であれば、県民が自治体の住人として考えて投票した=地方のことを地方が決めたということになるけれど、

後者とすれば、まだまだ従来型の選挙が有効な地域であったにすぎないのではないかと。

日本経済新聞を見るとJAが支援した候補が勝利したところが大きく取り上げられていて、農協改革に影響するのではないかと書かれています。


選挙の勝敗が政策に影響する。

政治はやっぱり理念よりも票で動くものなんですね。

2014年12月14日 (日)

「今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略」佐藤可士和、四国タオル工業組合著

九州大学ビジネススクールの修了生で「公共経営研究会」と名前をつけて勉強会をしておりまして、先週日曜日に集まったのですが、お一人の方の発表が「福岡県の伝統産業」。

発表を聴いて、伝統産業を守っていくことの難しさを感じたのですが、それと同時にこの分野に関わる仕事がしたいと強烈に思いました。

思ってみて、場合によっては、この発表者同様、人事異動で関わる可能性もあるのですが、自分の場合はかなりハードルが高く、今の組織を退職するまで関わることはないだろうと思います。

それでも関わりたいと言うからは、それなりに知識をと、まず本を検索してみるとこの本「今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略」が出てきました。

今治タオルと言うといまや日本人の大半が知っていると言っていいタオル。

かつて中国など、海外の安いタオルに押されていた産地が、復活できた成功例です。

ジリ貧で、常識的に考えると差別化が難しくて、価格競争では絶対海外に勝てそうになくて、復活なんてありえないものが、組合の熱意と一人のプロデューサーで蘇った。

その経過をまとめた本ですが、2014年11月30日発行・・・最近じゃない? 伝統産業に関わりたいと思って、出たばかりの本に巡り合って、ひょっとしたら私、この分野の仕事ができるかも(そんな奇跡は起こらない! 本気でやりたいなら、他力本願ではなく、自分で努力すべきですな・・(笑))

さて、本を読んで感じたこと 佐藤氏は「本質的価値を見極める」と言われていますが、本質的な価値は、案外長年携わっている当事者たちも気がついていないということ。
逆に長年携わっているからこそ、気がつかないところもあるということ。

失われていく伝統産業のそれぞれの地域がもう一度自分たちの作っている物の価値を考える。まず第一にこれをしてみる必要があるんだなあと。

それから、一企業ではなく、産地で取り組みをする場合、強い熱意を持った核となる人の存在、それからキーパーソンのリーダーシップ。今治タオルの場合は、佐藤可士和氏という著名な方がプロジェクトを引き受けたことで、有無を言わさずできたところもあるのだろうと思いますし、地元でまとめ役をやる人が何人か出てきている=一人じゃないということも成功の要因だと思います。


そして・・・これから。 ブランドが知られ、成功した。でも成功で終わりじゃない。それを守ることが難しいということ。

成功すると油断が出てしまう。一企業の取り組みではないので、緩む気持ちを地域全体で引き締めていくというのはとても難しいだろうということは容易に想像できます。


そんなことをわかって、今治に続き、地域ブランドを作り、守っていく。

どこも必死でやっているでしょうから、今治とは違う方法で成功している事例もあるでしょう。


いま、テレビなどでは、日本文化や日本製品を手放しで褒める番組が多いけれど、それってどの国も素晴らしい文化や伝統工芸品あるよね、日本だけの話じゃないよねっていつも白けた気分になります。


だから、日本だけが優れたものを持っているわけではないから、地域が持っているものが優れている、みんなに知ってもらいたいと思うなら、知ってもらう努力を謙虚にすることが大事だし、その一端を担える仕事をしたいなあと思います。

2014年10月 5日 (日)

「人口減 もがく自治体」2014.10.4日経新聞夕刊

昨日の日経新聞夕刊トップに「人口減もがく自治体」という記事がありました。

『人口減少で将来消滅の恐れがあると指摘された地方自治体の4割以上が、人口減関連の予算を増やす方向であることが日本経済新聞社の調査で分かった。危機感を背景に子育て支援や雇用、住環境の整備、移住促進などを手厚くしている例も目立つ。ただ、既に対策を打っていても実際に人口が増えたという自治体はごくわずかで、人口減対策の難しさが浮き彫りになった。』

というのが記事の結論です。
これは、今年5月に日本創成会議が消滅可能性都市とした市区町村の中で、政令指定都市の区を除いた自治体に調査を依頼し、回答を得た自治体(回答率74%)の結果をまとめたものです。

『人口減に関連する予算については「増やす」「新設の意向」が全体の4割強を占めた。具体的には子育てや婚活の支援、定住促進などが対策の柱になる。』

『現在行っている政策に関しては、子育てでは第3子以降を手厚く支援する事例が目立つ。秋田県鹿角市は保育園や児童クラブの無料化などで「第3子以降にかかる基礎的費用の65%を公的支援」する。
宮崎県椎葉村は「第1~2子に10万円、第3子に50万円、第4子以降に100万円を出生5年後に支給」する。
「保健師が対応する専用電話を開設」(愛知県美浜町)「結婚から妊娠、出産、育児まで切れ目なく支援」(三重県名張市)など、子育て環境を整える自治体も多い。
移住・定住の促進では「空き家・空き地の活用」「雇用の確保」「住宅・土地の提供」などが多い。大分県豊後高田市は住居から就労、保健、教育まで100を超える施策をそろえ移住を促す。北海道の釧路市や根室市、愛媛県愛南町、長崎県西海市などは移住希望者の短期お試し滞在を受け入れている。』
予算の新設、増額を検討していて、既存の政策も様々に工夫を凝らしていますが、効果は限定的。
子育て支援の政策を見ると第3子に手厚くということですが、その対象となる世帯ってどれくらいあるか?
また住宅の提供があっても雇用がなければ、不安で移住はできない。
予算が少ないから大胆な政策は作れないかもしれないけれど、ほかがやっているから自分のところでもやるという発想じゃないのかって心配になります。

日々の差し迫った課題の処理に汲々としている自治体が、危機感を持ちつつ(持っていないところもある?)も目先の政策で終わってしまっているのではないか。
調査では聞いていないと思いますが、各自治体がどのような長期ビジョンを持って政策を作っているかを知りたいです。
生まれた土地を離れて都会に行ってしまった人は、人口が減っていくんだからなくなる自治体があって仕方ないんじゃないのって言えるかもしれないけれど、対象となっている自治体はそういうわけにはいかない。
そもそもなぜ我が地域から人が去って行ってしまったのか、時代が移り変わっていく中で再び人口増に転じる可能性はないのか・・例えば今後も都市志向は続くのか?多様化する価値観の中で、自分たちの自治体が一部の人だけでもいいから響くものを持っていないか。
自分たちが住む街を本気で考えれば、見えるものがあるような気がするけれど、考えるための時間も人もお金もないでしょうね。

2014年8月29日 (金)

地域を支える方々

8月24日、福岡県の女性研修の翼第19回生の勉強会に参加しました。

福岡県女性研修の翼とは、福岡県が実施している事業で、「男女共同参画社会づくりの推進役となる女性を育成するため、海外の視察や交流等を通じて、国際的視野を広げる海外研修事業」です。

その19回生は2001年に海外研修に行くはずでしたが、アメリカで同時多発テロが起こり、その年の研修は中止、翌年に改めて事前研修からやり直し、海外研修を経験した皆さんです。

この間、長年続いてきた20人を3か国へというものから30人を2つのグループにわけ、それぞれ2か国へという形式に変わるという節目を経験されたメンバーでもあります。
研修をするという想いを2年間メンバーで共有した方々ですので、その後も連帯感を維持されており、年に2回集まっておられます。

その集まりが8月24日の勉強会でした。

勉強会は毎回、メンバーの方を講師に実施しておりますが、今回は「グリーンツーリズム」をお話いただきました。

最近“地域”がキーワードとして登場することが多く、さらに観光分野で「グリーンツーリズム」が取り上げられることも多くなっています。

ですから単にそれをキーワードと捉えている者が、「グリーンツーリズム」という言葉を聞くと、無責任にこれからの日本を支える重要な取り組み、ぐらいにしかイメージができませんが、実際に地域でこれに取り組んでいらっしゃる方の話を聞くと、そんな薄っぺらなイメージを持つことが憚られます。

他の多くの取り組みと同じように国や自治体が取り組みを提唱しています。しかし、国や自治体はあくまで法律や企画、取り組み団体への助成金や取り組みの広報やイベント的な事業予算を担うだけ。

実際に形になるところは、それを取組む地域が試行錯誤で作っていく。
グリーンツーリズムの場合、ノウハウがないところから始めて、関連する既存の法律をクリアして、実際に人を受け入れる。

ものすごい労力が必要です。それを企業のように組織を持っているならまだしも、地域の熱い想いを持った方だけで支えている。

地域全体で取り組むと言っても、必ずしも全員が賛成ではなくて、否定的な方も居る。その方々に配慮も必要。調整もしなければならない。

やっている方が充実しているんだから、いいじゃないか・・なんてレベルじゃないです。

『地域』あるいは『地方』というキーワード、それが何なのか、何が期待されているのか。
気安く使う前にいろんな実態を見ておくべきだし、考えないといけないと感じた勉強会でした。

2014年7月21日 (月)

「農地集積バンク 始動  耕作放棄地の拡大防止 貸し借り仲介、成長促す」2014.7.21日経新聞朝刊

日経新聞に「農地集積バンク」という仕組みについての記事があったので、クリップしてみました。
 
「小さな農地を借り上げて大規模生産者にまとめて貸し出す農地中間管理機構(農地集積バンク)の事業が全国で動き始めた。高齢化や後継者不足で耕作放棄地が広がるなど課題を抱える農業を成長産業に変革させるため、貸し借りを仲介し経営効率を高める。担い手による農地利用を現在の5割から8割に引き上げようと意欲的だ。」

「耕作放棄地は農家の高齢化に伴って急拡大している。全国の農業従業者の6割超は65歳以上。1975年に13.1万ヘクタールだった放棄地は、2010年には3倍を超える39.6万ヘクタールに拡大した。滋賀県とほぼ同じ面積だ。」

農業を考える際に、経営規模が小さいことが問題になります。

記事にもあるとおり、耕作放棄地が増えています。しかし、積極的に農業を営みたいという方にその土地は渡りません。

農地としては使えないけれど、不動産として売れば、お金が入る財産ですし、他人に貸すと返してもらいたいと思った時にトラブルになるのではないか?
所有者はそう思います。

ということで、

「貸し手と借り手が相対で契約するのではなく、機構が間に入って仲介する。これで貸し手は所有権はそのまま「安心感」のある公的な機関に農地を貸せるし、借り手はまとまった広さの土地を借りやすくなる。」


と記事にあります。

公的な第三者が入ることで、安心感は出るかもしれません。

「4月に借り手の募集を始めた兵庫県では、企業や大規模農家などから応募が殺到。1カ月の募集期間で114事業体から農地を借りたいとの要望があった。賃借を希望する面積は計4300ヘクタール。同県が10年間で仲介すると定めた目標の2割が既に集まった計算だ。」

だそうです。

しかし、

「もっともこの制度はまだ走り始めたばかり。5月に12件、計6.3ヘクタールの農地を貸借した熊本県は「農地には用水路などの共有施設もある。農地を借りてそこだけ耕していればいいというものでもない」(農地・農業振興課)と指摘している。」
という問題も。
よそ者が入ってきて、もうけのために好き勝手なことをやっている。

人間がコントロールできない自然が相手の農業を営むためには自然の摂理と同じように、以前からそこに住んでいる方々が作ってきたルールも尊重することが求められます。

しかし、既成のルールは完ぺきではないかもしれません。ルールに従いながら違和感を感じたら改善を提案する。ゆっくりとしたペースで・・・そうして地域が良い方向に変わっていく

それにしても・・・

志高い人たちの取り組みが地域が変えている・・そんな事例を多く聞くようになりました。

2014年7月 7日 (月)

「日曜に考える 人口減、自治体の未来は」日経新聞2014.7.6(日)

日経新聞連載日曜に考えるの7月6日は、日本創成会議・人口減少問題検討分科会が発表した推計、“全国1800の市区町村の半数は消滅する可能性がある”に関する地方代表とも言える全国町村会長の藤原忠彦川上村村長と都会側東京都豊島区高野之夫区長の意見記事でしたが、面白く読みました。

全国の会長と一自治体のトップでは、同じ首長と言えどだいぶ立ち位置が違い、全国的視野で見ている方がより迫力ある意見になるのは当たり前で、一自治体視点で語った都会代表に対し、地方の方が危機感を持って具体的・真剣に取り組みを行っているように見えたのは、地方在住者の贔屓目かもしれませんが・・

地方の代表に対し、都会の代表を持ってこないと不公平だったのでは?と考えてみたんですが、都会の代表って誰? 東京都知事が全国にある都会(大都市)の代表というわけでもないし・・都会と思われている都市は、それぞれ独自に動いているから代表なんていない・・ですかね。

さて、記事について例によってクリップ

まずは藤原全国町村会長の方から

「川上村の合計特殊出生率は2013年で1.89と高い。出生数の減少もある程度止まってきたとみている。高校生まで医療費を無料にしたり、不妊治療を助成したりするなど様々なことを実施している。しかし、そうしたことだけで少子化に歯止めがかかるとは思っていない。まずは結婚だが、村で現在、結婚する女性の7割は首都圏など村外から来る人だ。昔のように自然がある、空気がうまいというだけで、村に定住してくれる時代ではない」

いま若い方の中にも田舎の魅力に気づいてくださる方が多くなっていますが、だからと言ってそれで住もうと思う人は少ない・・当たり前ですが、首長が現実をきちんと見て、そのうえで何をすると言うか。

「医療、福祉、保健などを一体で提供すると同時に、下水道や文化センター、図書館などを地道に整備することが大事だ。今では農業は一種の知的産業になってきているから、地域整備でもデザイン性やファッション性が重要になっている。農村と都市の融合ということだ。子どもを育てる環境を整えるということは文化をつくることと同じだ。家庭はもとより、地域が時間をかけて醸成していくものだと考えている」

やることは昔と変わらないし、箱もの的なものが並んでいて気になるところではありますが、“地道に”“時間をかけて”はいい言葉だと思います。

「現在の人口は4000人程度で確かに減っている。しかし、人口は減っていても、うちの農業の生産量や販売額は落ちていない。1人当たりの収入は増えているわけで、むしろ幸せになっている部分もある。少ない人口でも頑張るためには一人ひとりが能力を発揮するしかない。そのために地域の教育に力を入れている」

やはり“教育”だと思います。ここは言うは易し・・具体的に今後何をされていくのか、町村会長としてそれをどう全国に発信されるのか、だと思います。

「日本創成会議は人口減対策として地方の拠点都市に投資を集中し、東京への流出を防ごうと提案しています。」という記者の質問に対し、

「拠点都市に人口のダム機能をもたせようということのようだが、地方にいくつもの『ミニ東京』ができるだけなら意味がない。それでは中心部から離れた地域はさらに過疎化が進む可能性がある」

もう東京の真似は“ない”です。

「今はひとつのマニュアルがあって、それでやっていけば成功する、という時代ではない。国や県には『市町村カルテ』をつくってもらいたいと思う。地域ごとの資源や人材、歴史などを踏まえて特色や欠点などを市町村ごとに分析してまとめるものだ。それを外部の第三者も交えて作成する。地域で暮らす人の力を引き出すためには、その前段の仕掛けが必要だ」

我が町・村独自のもの、手間がかかるけれど、自分たちが汗をかいて自分たちのモノを作っていくしかないだろうなと思います。“(国や県に)つくってもらいたい”という表現は気になりますが・・

次は高野豊島区長の部分

「「消滅可能性都市」といわれてどうですか。」という記事の問いに対し、
「びっくりした。なぜ、そうなるのかと。私が区長になった1999年のころには24万人まで減っていた豊島区の人口は、今は27万人を超えてV字で増えている。全国の自治体のなかで最も人口密度が高いのが豊島区だ。仕事の面でも生活の面でも便利な24時間都市なのですよ」
「しかし、冷静に考えると今後、若い世代の流入が減ってくるということなのだ、と理解した。流入人口が減るのは日本の人口が急速に減るから。つまり、日本全体の問題として考えないといけないのだろう。池袋がある豊島区は人の流出入が激しく、毎年2万人以上の住民が入れ替わるから」

「今年度で240人の保育園の待機児童を17年度までにゼロにする目標を掲げるなど、これまでも他の自治体に負けない取り組みをしてきたつもりだ。しかし、改めて出産前から子育てまで、教育や住宅支援なども含めて全庁を挙げて切れ目のない政策を打ち出す。消滅、と言われて職員はみんな危機感をもった。区内にある安産の神様にあやかって鬼子母神プロジェクトと呼んでいる」

「まず、F1会議を今月中旬に立ち上げる。F1とは広告や放送業界で20歳から34歳の女性を指す言葉だ。若い女性に集まってもらって、何が必要なのかを話し合ってもらう。行政の発想だけではだめなので」

発言を並べると“守り”を感じてしまいます。“他の自治体に負けない取り組み”“若い女性に集まってもらって、何が必要なのかを話し合ってもらう”

自治体間の競争ではなくて自分のところにあった何をするかが大事だし、区民の意見は大事だけれど、何が必要かが若い女性の話し合いで見つかるとは思えないですが・・

こちらも最後に「国にも都市と地方が共生できる社会の仕組みを考えてほしい」と、国にお願いがあります。

限られた予算の中で、各地方はお金を使わず、知恵や熱意でいろんな取り組みをしているけれど、国ががっちり財源を握っている状態だから、どんなに頑張っているところも最後は『お願い』をしなければならない。

この構造、いい加減変わって欲しいと思います。